盆踊りとやぐらの関係、知ってる?それぞれの歴史や意味を知ろう
盆踊りは夏の風物詩のひとつ。その起源や意味には、「先祖をおもてなしして供養する」という古くから伝わる素敵な思いが込められています。そこで今回は盆踊りの起源や意味とともに、やぐらの基礎知識と日本三大盆踊りについてご紹介します。
■先祖への思いを馳せる宗教行事!盆踊りの起源と意味
盆踊りの起源は平安時代中期。当時活躍していた僧侶により「節に合わせて念仏を唱える」という思考が広まり、念仏に合わせて踊るようになったことが盆踊り誕生のきっかけといわれています。このときはまだ「念仏踊り」と呼ばれており、これが先祖を供養する盂蘭盆会(うらぼんえ)と結びついたことで盆踊りとして確立しました。なお、盂蘭盆会は毎年7月または8月に行われる仏教行事で、現在でいうお盆を指します。
そんな盆踊りに込められた意味は、お盆に帰ってきた先祖の霊を迎え送るというもの。踊りを通して、先祖への思いを馳せ供養していたのです。しかし、時が立つに連れて仏教行事的な意味合いは薄れ、鎌倉時代中期には娯楽的な意味合いを持つように。江戸時代には、人々の交流のきっかけとして各地で親しまれるようになりました。
■提灯の明かり=火!盆踊りの際にやぐらを設置する理由
盆踊りというと、やぐらを囲んで踊るというイメージがある方は少なくないはず。実は、盆踊りとやぐらの組み合わせにも意味があります。
盆踊りの際にやぐらを設置する理由には、盂蘭盆会が大きく関係しています。盂蘭盆会の習慣は地域や仏教の宗派によってさまざまですが、一般的には盆花や季節の野菜・果物をお供えし、門前で麻幹(おがら)を燃やし迎え火を焚いて先祖の霊をお迎えします。そして、送り火を焚いて先祖の霊をお送りします。盆踊りの際にやぐらを設置するのは、盂蘭盆会にて先祖を送り迎える際に焚く火をやぐらに取りつけられた提灯などで再現するとともに、その明かりで先祖と会話するため。つまり、盆踊りにおいてやぐらは必要不可欠なアイテムなのです。
■発展を遂げて確立!日本三大盆踊りをご紹介
日本には、「日本三大盆踊り」に認定されている盆踊りをメインとしたお祭りがあります。
・阿波踊り
徳島県発祥の伝統芸能で、比較的自由な踊り方が特徴的な盆踊りです。「連」と呼ばれる団体を組み、その中で浴衣または法被(はっぴ)を着用し足袋を穿いて踊る「男踊り」を担当するメンバーと、浴衣を着用し編み笠を被り下駄を履いて踊る「女踊り」を担当するメンバーの二手に分かれて踊ります。
・西馬音内盆踊り
秋田県発祥の伝統芸能で、優雅で美しい踊り方が特徴的な盆踊りです。踊りには音頭とがんけの2つがあり、音頭は「ヤートーセー ヨイワナ セッチャ」という掛け声が特徴で、寄せ太鼓や笛の音に合わせて流れるように踊ります。一方がんけは音頭に比べてハイテンポですが、一段としなやかに踊るのが特徴です。
・群上八幡盆踊り
岐阜県発祥の伝統芸能で、手拍子をそろえる踊り方が特徴的な盆踊りです。日本一長い盆踊りとして知られており、お盆の4日間は夜が明けるまで踊ります。大きな踊りの輪を作ることが目的なので、地元の方だけでなく、その場に居合わせた観光客も飛び入りすることが参加でき、終始にぎやかに踊り続けます。
■起源や意味を知ってから取り入れよう
盆踊りは、日本に古くから伝わる伝統行事のひとつ。夏祭りのプログラムとして取り入れる際は、盆踊りとやぐらに込められた意味を主催者自身が意識するだけでなく、お祭りに訪れたお客さまにも体感してもらうことが大切です。
古くから伝わる文化は、これからの日本を背負う世代に積極的に伝えていきたいもの。それを体現するという意味でも、夏祭りにて盆踊りを行う際は今一度起源や意味を考えてみましょう。そうすれば日本三大盆踊りに勝るとも劣らない夏祭りになるはずです。
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